WHOが映画、舞台、映像などコンテンツ制作者向けに「自殺予防指針」を発表

  1. 自死遺族として
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自殺は、世界の15〜29歳の死因の第2位

世界保健機関(WHO)の世界統計によると、毎年、自殺により40万人に1人の割合で約80万人が死亡しています。 中でも、自殺が若者の死因の主な原因のひとであることは世界的に問題になっています。

WHO メンタルヘルス 自殺データ

このたび世界保健機関(WHO)は、若者の自殺を少しでも食い止めようと、映画制作者や舞台・映像関係者(テレビやネット動画など)向けに自殺予防指針「 自殺対策を推進するために映画制作者と舞台・映像関係者に知ってもらいたい基礎知識 (英語版日本語版)」を策定・公開しました。

メディアニュースのレポートと同様に、テレビ、映画館、またはオンラインでの自殺の描写は、模倣効果をもたらす可能性があります。さらに、自殺の描写が現実を正確に表していない場合、自殺の性質に対する世間の誤解に寄与し、神話を育み、効果的な自殺予防を妨げる可能性があります。しかしながら、自殺危機を克服することに焦点を当てた描写は、視聴者の自殺リスクを減らすことができます。


https://www.who.int/publications-detail/preventing-suicide-a-resource-for-filmmakers-and-others-working-on-stage-and-screen

ドラマ放送後に10代の自殺率3割増、Netflixが自殺シーン削除

今回の自殺予防指針策定の契機になったのは、動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)が2017年に公開したドラマ「13 Reasons Why(13の理由)」の自殺シーンです。米国で最初のシーズン公開後1か月で、10代の自殺率が3割増加し、大きな社会問題となりました。

メンタルヘルスの専門家から批判を受け、リリースから2年経過後に削除されました。NetflixはTwitterで「 アメリカ自殺予防財団の最高医療責任者であるクリスティーン・ムーティエ博士を含む医療専門家の助言に基づき、私たちはクリエーターのブライアン・ヨーキーとプロデューサーと共に、ハンナの自殺シーンを編集することに決めました。 」と表明しています。

米国自殺予防財団(AFSP) https://afsp.org/about-afsp/christine-moutier-m-d/

WHO作成の自殺防止指針の日本語版が2020年1月に公開

WHOの自殺防止指針の日本語訳は、自殺総合対策推進センターの方が担当されたようです。いくつかのメディアで取り上げられ、Twitter上でも #自殺シーン がトレンド入りするなど、注目を集めました。

自殺対策を推進するために映画制作者および舞 台・映像関係者にできること

  1. 困難な状況に屈しないことやそうした状況から立ち直る力(レジリエンス)、ま た効果的な問題対処の方法を示している人物や物語を取り入れること
  2. 支援サービスから援助を受ける方法の概要を示すこと
  3. 友人や家族などからの支援は重要な価値があることを示すこと
  4. 自殺の行為や手段に関する描写を避けること
  5. 現実に基づいてストーリーを展開させること
  6. 自殺の兆候となり得るものと、兆候にいかに対処すべきかを含めること
  7. 自殺の背景にある複雑な要因と広範な問題を示すこと
  8. 適切な言葉を用いること
  9. 自殺対策とコミュニケーションの専門家、精神保健の専門家、自殺関連の実体験 者の助言を受けること
  10. 映画、テレビ番組、ストリーミング動画、演劇の開始前に注意喚起・警告のメッ セージを挿入する必要性があるかよく考えること
  11. 自殺の描写が舞台や映画制作に関わる者に与える影響を考慮すること
  12. 18 歳未満の鑑賞者を対象とする作品では、保護者向けガイダンスを提供するこ と

自死遺族として、コンテンツ制作者の方にお願いしたいこと

コンテンツ制作者の方に自死遺族として特に大切にしていただきたいと思うことは「自殺の行為や手段に関する描写を避けること」です。私たち自死遺族も、どうやって自殺したかは、決して他の方にお伝えしないように心がけています。

それを伝えることで、新たな自殺者が出るのを防ぐためです。歴史的に自殺の行為や手段に関する描写は、群発自殺や模倣行動の増加につながることが証明されています。Netflixのドラマ「13 Reasons Why(13の理由)」然り。同様に、自殺を美化することも、自死をもって責任を取ることが称賛されるような描写もいりません。

そして、もうひとつ。自死遺族は、今もって自殺に対する誤解や偏見にさらされています。自殺だと周囲に言えないのです。自殺はその多くが追い詰められた末の死です。生きることの阻害要因を減らしていくことが必要であって、自殺を不名誉で恥ずべきことと思わせる表現は自殺リスクを減らしません。

日々をやり過ごすのがやっとの、自死遺族の方へ

最後に、自死遺族の方へ。自殺のニュースを目にするたびフラッシュバックする気持ちがよく分かります。映画やドラマで突然の自殺シーンに遭遇して、号泣してしまう時の気持ちが。映画もドラマも、心を乱すものから今は少し遠ざかってください。自死遺族の自殺率は総じて高く、今はあなたの心と命を守ることが先です。息をしているだけで十分頑張っている日々。心が穏やかになれる時間が少しでも増えていきますよう、祈っております。

もう誰ひとり不倫に苦しむ人も
自殺に追い込まれる人もいてほしくない!

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Rのために@自死遺族裁判中

妹を自殺で亡くした自死遺族です。妹を自殺に追い込んだ相手に対し裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp かTwitterのDMまで。

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