世界と日本の自殺率の現状、自殺を予防するために知りたい警告サインと支援方法

  1. 悲しみに寄り添うもの
  2. 445 view

厚生労働省と警察庁は、2019年の自殺者が20,169名であったと発表しました。前年2018年より671人(3.2%)の減少。10年連続の減少で、1978年の統計開始以来最少となりました。

1年で2万人が自殺。1日当たり50人以上が亡くなっている計算です。確かに「過去よりは減った」のは事実かもしれません。多くの方の自殺予防のご尽力あってのことでしょう。それでも2万人という数字は、日本武道館を満員にしても、横浜アリーナを満員にしても足りない程の人数。その一人一人にご家族がいることを思うと、自死遺族としては今だ信じがたい数です。

そこで、自殺にまつわる様々な統計について、調査をしました。

「世界で40秒に1人が自殺」年間80万人 WHO自殺統計

2019年のWHO(世界保健機関)の発表によると、世界では毎年、自殺により40万人に1人の割合で約80万人が死亡しています。それは40秒ごとに1人です。

自殺による死亡は、マラリア、乳癌、または戦争や殺人によって失われる命よりも多いことが分かっています。

世界の自殺率ランキング 日本は14位/183か国

世界の自殺率ランキング(人口10万人あたりの自殺者数、WHO、2018年) によると、日本は183か国中14位。ソ連崩壊後の経済問題を抱える国や、アフリカの経済的に苦しい国が並ぶ中、日本は世界でも高い自殺率を記録しています。

自殺ランク国名自殺率
1リトアニア31.9
2ロシア31
3ガイアナ29.2
4韓国26.9
5ベラルーシ26.2
6スリナム22.8
7カザフスタン22.5
8ウクライナ22.4
9ラトビア21.2
10レソト21.2
11ベルギー20.7
12ハンガリー19.1
13スロベニア18.6
14日本18.5
15ウルグアイ18.4
16エストニア17.8
17フランス17.7
18スイス17.2
19クロアチア16.5
20赤道ギニア16.4

世界から見る、日本の自殺率が高い理由

BBC(イギリス放送協会)は、かつて「なぜ日本はこんなに自殺率が高いのか」の記事を書きました。日本の高い自殺率の理由として、以下が挙げられていました。

  • 貧困や老いや孤独
  • 切腹などに代表される名誉ある自殺という伝統
  • 自殺が罪である宗教の信仰がない、あるいは無宗教
  • 若者の不安定な雇用
  • 怒りや欲求不満を表現しない文化背景による精神的孤立
  • 訓練された有資格カウンセラーの不足

自殺は、世界の15歳~29歳における2番目に多い死因です。

自殺は、生涯を通じて発生していますが、中でも若年層の自殺は世界で大きな問題になっています。世界では、自殺は15歳から29歳の間で2番目に多い死因です。自殺は、世界で最も多い死因である交通事故の過半数に及んでいます。

自殺は、日本の15歳~39歳における1番多い死因です。

2018年の統計「年齢別の死亡要因」によると、自殺は日本の15歳から39歳の間で最も多い死因です。日本の自殺率は、世界では最も多い交通事故(日本では不慮の事故に含まれる)を大きく上回っています。

年齢1位人数2位 人数3位 人数
15~19歳自殺503名不慮の事故240名悪性新生物110名
20~24歳自殺1045名不慮の事故314名悪性新生物 160名
25~29歳自殺1059名不慮の事故257名悪性新生物240名
30~34歳自殺1236名悪性新生物533名不慮の事故 303名
35~39歳自殺1286名悪性新生物1086名心疾患420名

厚生労働省によると「こうした状況は国際的に見ても深刻であり、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進国では日本のみ」とのこと。ここで言う先進国とはG7と呼ばれる7か国のことで、比較対象はフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダです。

日本人の死因というと、1位は「悪性新生物(ガン)」が真っ先に思い浮かぶと思います。それらの病死が死因なのは40歳以降、及び14歳以下です。

日本の推定自殺未遂者53万人、4人に1人が本気で自殺したい

2016 年の日本財団による自殺意識調査は世の中へ大きな衝撃を与えました。「4人に1人が本気で自殺を考えたことがあり、過去1年以内に自殺未遂をした人が推計で53万人に上る実態が分かったのです。

継続して行われた2018年の調査では、以下の10のファクトが解明されています。

自殺の時期は、3月が最も多く、12月が最も少ない。

警察庁自殺統計原票データより厚生労働省が作成した発表資料によると、日本における自殺の時期は、3月が最も多く、12月が最も少なくなっています。

自殺の時期は、世界的にも同じ傾向があります。冬ではなく、春や早夏に自殺率が向上することは、もう長い間知られています。環境の変化によるメンタル不調、気温や太陽光の変化、アレルギー等が推測されていますが、 理由は今でもはっきりと分かっていません。

そのため、自殺対策基本法では、自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」と定め「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向けて、様々な事業や啓蒙活動を行っています。

自殺の原因

自殺は、人が自ら命を絶つこと自体だけではなく、人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要があります。その意味では、ひとりひとりによって自殺の原因は異なるとも言えるでしょう。

なぜ自殺は起きるのか。それに対する単純な答えは存在しません。自殺の背景には、個人的、社会的、心理的、文化的、生物学的そして環境的因子が絡み合って影響する複雑な現象があると考えられています。同時に、自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、広く深刻な社会問題であると捉えられています。

自殺行動の主な危険因子

WHOの世界自殺レポートによると、自殺行動の主な危険因子は以下の通りです。ここに挙げられたのが危険因子の全てではなく、他にも多くの危険因子があります。

保健医療システム ヘルスケアへのアクセスの障壁
社会
手段へのアクセス
不適切なメディア報道
援助希求行動と関連するスティグマ
地域災害、戦争、 紛争
異文化への適応と強制移動のストレス
差別
トラウマもしくは虐待
人間関係孤立感および社会的支援の不足
人間関係の葛藤、不和、喪失
個人過去の自殺企図
精神障害
アルコールの有害な使用
失業もしくは経済的損失
絶望
慢性疼痛
自殺の家族歴
遺伝学的および生物学的因子

自殺の予防

自殺は予防することができる。WHOがはっきりと見解を示しています。では、自殺を予防するために、私たちが個人レベルでできることは何でしょうか。それは、自殺の危険因子、そして警告サインを認識し、支援方法を知ることです。

自殺の警告サインを認識する

自殺の警告サインとは、人が急性の危険にさらされ、緊急に助けを必要とする可能性があることを示す指標です。これらの警告サインを知ることで、助けを必要としている時に、より意識的になり、より多くの質問をし、より迅速に介入することができます。 以下はSAVE(アメリカの自殺予防活動NPO)のWebサイトで紹介されている自殺の警告サインです。

  • 死にたい、または自殺したいと話す。
  • 自殺する方法を探している。
  • 絶望を感じている、または目的がないことについて話す。
  • 閉じ込められたと感じたり、耐え難い痛みを感じていると話す。
  • 他者への負担について話す。
  • アルコールや薬物の使用が増える。
  • 不安、動揺、または無謀な行動。
  • 睡眠が少なすぎる、または多すぎる。
  • 引きこもりまたは孤立感。
  • 怒りを示したり、復讐を求めることについて話す。
  • 極端な気分変動を示す。

自殺の警告サインを感じたら「TALKの原則」で支援

TALKとは、Tell、Ask、Listen、Keep safeの頭文字をとったものです。

Tell(警告サインに該当する)行動の変化に気づいたことを、優しく、アイコンタクトを使用して伝えることから始めます。あなたの様子を見ていると、とても心配になるという点をはっきりと言葉に出して伝えます。あなたの気持ちを聞かせて欲しいと真面目に、真摯に伝えてください。
Ask「自殺を考えているの?」と直接質問してください。自殺を話題にしたことで、その人が自殺をする危険はありません。これは大きな誤解です。むしろ自殺予防の第一歩になります。自殺を防ぐために私たちが最初にできることは、自殺について話し、自殺念慮(死にたい気持ち)に苦しむ人へのコミュニケーションの扉を開くことです。
Listenプライベートな場所を見つけて、その人が必要なだけ時間をかけられるような環境を作り、話を聴きます。良い悪いの判断なしに、徹底的に聞き役に回り、相手の気持ちを真剣に聴きます。
Keep
Safe
少しでも危険を感じたならば、安全を確保する。その人を決してひとりにしない。メンタルヘルスの専門家などの医療機関を受診するように勧めてください。 大人を巻き込む、家族を巻き込む。より多くの人が関わるほど、安全性が高まります。助けやサポートを受けられる支援機関を知り、サポートを受けられるようにします。自殺に対処することは困難な場合があり、単独でそれを行うことはできません。

自殺リスクアセスメントシートの活用

特定非営利活動法人メンタルケア協議会(JAM)が公開している、自殺の危険性を評価するためのチェックリストがあります。救急相談、女性相談、電話相談など様々な相談場面で、さらに、普段日常の会話の中で、自殺企図のリスクがあるのではないかと疑われた場合は、このシートを活用して自殺リスクの高さを判断し、必要な対応を考えることができます。

JAM自殺リスクアセスメントシート

悩みを抱えている時の相談先

電話相談先

SNS相談先

もう誰ひとり不倫に苦しむ人も
自殺に追い込まれる人もいてほしくない!

オンライン署名活動をチェックする
Rのために@自死遺族裁判中

妹を自殺で亡くした自死遺族です。妹を自殺に追い込んだ相手に対し裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp かTwitterのDMまで。

記事一覧

関連記事