不倫は全否定、遺族感情を逆なでする被告の主張と、司法の相当因果関係の壁(裁判11回目)

  1. 慰謝料請求裁判
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新型コロナの影響でしばらく延期されていた裁判ですが、ようやく開催。今回は裁判官が変更となり、前回からの確認を主とした弁論準備となりました。

2020年6月26日午後14時00分、東京地裁の12階民事第49部にて弁論準備(11回目の裁判)が行われました。

不倫は全否定、妻は死んだのだから、もはや事実を話す意味はないと主張する不倫夫

今回被告が用意した内容は、信じられないほど遺族の感情を逆なでする内容でした。

まず、我々が提出した不貞行為の内容を全て否定。(妹が不倫発覚後に夫婦で会話した時のメモ、不倫夫と不倫相手とのLINEのやり取りの画像等)。さらに不倫夫は「不貞行為に対する回答を、第三者にする気にはなれない」と主張。第三者には話したくないなどと、自分のせいで亡くなった妻の両親に対して、気は確かなのでしょうか…。

さらに、葬儀の際、妻の父親や家族から酷い言葉を投げかけられたと殊更に主張。自分の娘を殺されて、犯人を目の前に優しい言葉を掛けられる人間などいません。娘のためにと怒りを抑え、歯を食いしばり、一切の暴力はふるわず、葬儀を耐えた父が、母が、旅立つ娘に一切何の言葉も掛けなかった不倫夫を見ながら、どれだけ苦しかったか。私たち家族が、その日に不倫夫に伝えた言葉に憎しみはあって当然です。そして、それはこの裁判には関係のない話です。

文章はこう結ばれていました。「妻がいない以上、詳細な事実関係の開示は何の意味があるのかと思わざるを得ない。原告の憎しみの気持ちを満足させるために、被告にとってもはや意味のないことを語ることはできない。」

憎しみの気持ち?裁判を起こすには必要な感情です。意味のないこと?事実と向き合うことが?私たちが裁判に望むことは、被告である不倫夫に事実関係を明らかにさせ、本件に正面から向き合ってもらうこと。お金じゃない。それだけが目的です。

不貞行為の内容を明らかにせよとの裁判官の指示(もう何回目?)

裁判官からは当然「 夫婦で話し合われた内容をメモ取られているんですよね。被告は、その認否ができるはずですよね。」とコメント。

我々の弁護士からも「 被告ご自身が何人もの女性とLINEのやり取りをされていますよね。肉体関係があったのか、なかったのか。それは回答できますよね。」と主張。

被告なりの不貞行為の対応についてもう一度ご検討ください、と指示がありました。(答えない場合)今度は法廷の中で聴かれる可能性がありますからね、と念押しされていました。先述の準備書面の内容は、ほぼ無視された形ですね。

遺族は納得できない、司法独自の”相当因果関係”の認定基準

慰謝料について、我々側に質問がありました。不貞行為自体から発生した慰謝料と死亡の慰謝料との関係についてです。我々の弁護士より「不貞行為から精神的損害が発生し、不貞行為から死亡という結果が生じ、死亡という結果による慰謝料も生じる。精神的苦痛は一緒である」と回答しました。この相当因果関係というのが、この裁判の最も難しいところです。

裁判での相当因果関係とは、同じような立場に立った時に、一般的な方がその行為を取るかどうかが見られます。つまり、例えばいじめと自殺の因果関係ありとなった場合、そのいじめを受けたらほぼ100%の人が自殺するといった意味なのです。 その司法独自の相当因果関係の認定基準、一般人から見て納得できますか?

不倫の事実だけで、死にたくなる程の精神的苦痛を与えている

このたびアンケートを実施し、不倫された当事者の方を対象に、不倫により患った症状について回答をいただきました。その結果「自殺念慮(死にたくなった)」が睡眠障害と並び最も多いという結果になりました。不倫という事実はそれだけで、死にたいと追い詰められほどの精神的苦痛を与えているのが現実です。

その精神的苦痛に耐えられる人もいれば、耐えられない人もいます。耐えられる人が多数派だからと言って、耐えられなかったのが本人に原因があるとは決して言えないと思います。

不倫によって自殺した、事実上の因果関係は明白

妹の遺書には「夫の行為を何ひとつとして、許すことは出来ません。出会った頃から裏切られ続けて、結婚までしてしまった私の後悔、無念、屈辱。もう何も信じたくありません。」と書かれていました。本人自筆の遺書があり、夫を相続から外すという遺言書があり、不倫が原因の自殺であるという事実上の因果関係は明白です。それでもなお法律上の解釈だけは不法行為による帰責を否定することに、何の意味があるのかと思わざるを得ません。

自殺を”追い詰められた死”と定義しながら、追い詰めた人物に罪なし

日本では年間2万人以上が自ら命を絶っています。自殺対策基本法において自殺を「追い詰められた死」と定義しながら、自殺の原因を作った人物に対して法律上の因果関係がほとんど認められないという司法上の問題は、長く自死遺族を苦しめて来ました。いじめと自殺の因果関係が認定されたのは2019年大津いじめ訴訟が初めてのことです。

若年層の自殺は今もって多く(2018年の統計「年齢別の死亡要因」によると、自殺は日本の15歳から39歳の間で最も多い死因です。)様々な対策が講じられています。いじめ自殺やパワハラ自殺等、事実上の因果関係が明白な事件において、人を自殺に追い込んだ者の責任を問わずして、命を救うための自殺対策など出来るはずがありません。

もう妹のように悪質な不倫に苦しむ人も、自殺に追い込まれる人もいてほしくない。同じように苦しんでいる人達のためにも、この裁判を戦い抜きたいと思います。

次の裁判について

次回の裁判は、2020年8月17午前11時00分(12階民事第49部)です。(一般の方は傍聴いただけません。)

もう誰ひとり不倫に苦しむ人も
自殺に追い込まれる人もいてほしくない!

オンライン署名活動をチェックする
Rのために@自死遺族裁判中

妹を自殺で亡くした自死遺族です。妹を自殺に追い込んだ相手に対し裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp かTwitterのDMまで。

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