サバイバーのための良書「自殺で遺された人たちのサポートガイド」

  1. 悲しみに寄り添うもの
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サバイバーとは、大切な誰かを自殺で失った人のことです。

ひとりきりで苦しむことの多いサバイバーのために、あるいはサバイバーに寄り添い何とか助けになりたいと思う周囲の人たちのために、この本は書かれています。著者は、アメリカの心理学者アン・スモーリン博士です。

本の中では、愛する人を失った方々の様々な事例が紹介されています。親を自殺で亡くした人、子どもを自殺で亡くした人、配偶者を自殺で亡くした人、きょうだいを自殺で亡くした人…。その一人一人の気持ちに寄り添いながら、再び前を向いて歩きだすためのサポート、道案内のような軌跡が書かれています。

罪悪感について

「自殺を防ぐために、自分は何かできたはずだ」こんな思いほど苦しいものはありません。でも、結果がどうなっていたかなど決して知ることはできません。ああすればよかったと悔やまれる事柄を仮に実行していても、いえ、たとえその時、自殺を食い止められたとしても、将来にわたってずっと自殺を防げたかどうかはまた別の話なのです。

この罪悪感は、多くのサバイバーが抱える気持ちだと思います。決して知りようがない問いで、自分を責め続けてしまいがちですが「自分を赦す」という道があると、本書は教えてくれています。

命日反応について

年に一度の命日はもちろん、月命日、あるいは故人が亡くなった曜日でさえ、往々にして抑うつや絶望の引き金になります。このような時の感情は死の直後の反応と同じくらい強烈な場合もあります。そうであれば、悲しみが襲ってくる時を予測し、手を打っておくことができます。

大切な人の不在をなるべく意識しすぎないように外出する、大切な人と過ごした思い出を偲ぶイベントを行う、みんなで集まって故人の好きだった曲を流す、故人が行きたがっていた場所へ行く。いつものスケジュールを少し変えてみることが、悲しみを緩和する方法だと提案してくれています。

悲しむことと愛することは違います

多くのサバイバーは、故人の死を嘆き悲しんでいる間、自分はどれだけ相手を愛していたかを証明しているのだと思っています。もしかしたらあなたは、苦しむのをやめ、一瞬でも楽な気持ちになり、笑ったり何らかの楽しみを見つけたりしたら、大切な人への裏切りになると思っているかもしれません。故人のことは必ず悲しみとともに思い出さなければならないと考えているかもしれません。

しかし、これほど真実から遠いことはないのです。あなたには大切な人の思い出がたくさんあるでしょう。相手と過ごした時間のことは、悲しみだけでなく、喜びとともに思い出してもいいのです。もちろん、相手がもう一緒にいないことは悲しいでしょうが、一緒にいられた時間のことはうれしい気分で思い出してもかまいません。

これは、多くのサバイバーと接してきた著者だからこそ言える、長期的な道のりの中で目指す視点だと思います。今は絶望しかないといった状況から、次へ進むときの。私たちが、残りの人生を、歩いていくための言葉だと感じました。

まとめ

ここでは全て紹介しきれませんでしたが、サバイバーが生きていくためのたくさんの考え方や方法が紹介されています。自死遺族である私にとって多くの気づきがあり、出会えて良かった書籍のひとつです。

ひとつだけ付け加えたいのは、著者本人が臨床心理学で博士号を取得されていることもあって、うつ病が自殺の主要因として取り上げられています。そのため原因が他にある人にとっては(つまり、いじめ自殺、パワハラ自殺、過労自殺、不倫自殺など)当てはまらないケースも。

それでも、きっとこの本に支えられる人が世界中にいるだろうなと思える良書です。

書籍タイトル「自殺で遺された人たちのサポートガイド」( Jump to Amazon)

Rのために@自死遺族裁判中

2018年5月に妹を自殺で亡くした自死遺族です。不特定多数との不倫で妹を自殺に追い込んだ妹の夫S氏に対し慰謝料請求の裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp までメールでご連絡ください。

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