故人が元気だった頃の姿で、家族がゆっくりお別れできる化学技術

  1. 悲しみに寄り添うもの
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エンバーミングの目的はグリーフケア

橋爪謙一郎さんという方の著書を読みました。「エンバーマー」という本です。エンバーミングとは、故人を生前の元気だった頃の姿に戻し、家族がゆっくりお別れできるようにする技術です。

日本ではまだまだ一般的ではありませんが、アメリカでは広く普及している技術だそうです。もともと南北戦争の時に戦死者を遺族のもとへ送り届ける目的で普及したとか。 橋爪さんはアメリカへ渡り、エンバーミングの技術を日本へ持ち帰られた第一人者です。

すべての根っこにあるものは「エンバーミングは、グリーフサポートの手段のひとつである」ということ。そしてそのグリーフサポートを、ここ日本で、誰もが受けられるようにしていきたいのです。

国内でエンバーミングをされる人は、1年間に亡くなった人の1%に過ぎません。しかし、そんなわずかな例でも処置をし、故人と過ごす時間をじっくりとることのできた方々の姿を数多く見てきました

「まるで、今にも起き上がって私の名前を呼びそうだ」

「闘病でやつれた顔が、元気だったころに戻っている」

「あんなに酷い事故だったのに…傷も目立たなくなっている」

これらはなんら大げさなものではなく、ご遺族の方々から直接僕が聞いた言葉です。

エンバーミング自体は化学技術かもしれませんが、橋爪さんがその目的をグリーフケア、つまり遺族を支えることだと述べておられるのが印象的でした。遺族の心の悲しみを癒すための、最初の一歩を踏み出すきっかけにして欲しいと。

妹の表情の変化を見て涙

妹が亡くなったのは5月27日でした。しかし、葬儀会場の都合で葬儀はその6日後に行われることになりました。そのため妹が暮らしていた家で家族と一緒に過ごしたいと申し出ましたがお断りされ、妹は葬儀までの時間を安置室で過ごすことになりました。家族みんなで、妹に毎日会いに通いました。

葬儀の日の朝、妹の顔を見た母が、妹の表情が苦しそうと言って、酷く泣きました。妹の顔を見ると、目の周りに紫色のしみが表れていました。エンゼルメイクを担当した私としては「私が上手くメイクできてなかったせいだよ、ごめんね」と謝ることしかできませんでした。

その時は、エンバーミングのことなど、全く思い浮かびませんでした。提案されたとしても、その時に何か考える余裕があったかどうか分かりません。でももし、エンバーミング処置をお願いしていたら、妹は旅立つその時までずっと、和らいだ表情でいられたのかなと、今になって少し考えてしまいます。

Rのために@自死遺族裁判中

2018年5月に妹を自殺で亡くした自死遺族です。不特定多数との不倫で妹を自殺に追い込んだ妹の夫S氏に対し慰謝料請求の裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp までメールでご連絡ください。

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