お棺の中で眠る妹にお化粧”エンゼルメイク”を

  1. 自死遺族として
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2018年5月31日、通夜式の前日のことです。 

葬儀社の方から、もしよければ死化粧(エンゼルメイク)をして欲しいとご依頼がありました。「ご家族にお化粧をしていただいたほうが、喜ばれると思います」とのことでした。どのようにお化粧をしたら良いか分からないままに、妹が普段使っていたメイク道具一式や、伸びの良いクリームファンデを揃えて持って行きました。

部屋に入ると、お棺が開けられ、妹の傍に女性の方が立っていました。 

「既にご遺体には保湿等の最初に行うことは済ませていますので、どうぞ普段通りにメイクされてあげてください。」と促されました。 

葬儀社の方が妹を「ご遺体、ご遺体」と呼ぶのを正直辛く感じておりました。この時私はまだ、妹の死を認識できていなかったのです。お棺の中にいる妹にずっと話しかけていましたし、一度もお線香もあげず、手も合わせられませんでした。「ご遺体じゃなく、妹の名前で呼んで欲しい」口に出しては言えませんでしたが、心の中でそう思っていました。

手のひらに化粧水を付け、妹の頬に触れた瞬間、妹の肌があまりに冷たくて、「冷たい…顔が冷たい…」と言った後、涙が止まらなくなりました。 流れ落ちる涙と鼻水を何度もふいて、次はファンデーションをそっと塗っていきました。 

妹は昔から私よりずっとおしゃれで、メイクも上手でした。 「●●(妹の名前)みたいに全然上手じゃなくてごめんね、笑われちゃう」 と話しながら。泣きながら。妹にお化粧をしました。 

妹は元々皮膚が弱いこともあって、ほっぺたの皮がめくれて来ました。 どうしよう、と狼狽えると、「ここはもうあまり塗らずにそのままに」と指示が出ました。 

そのうち、葬儀社の方が急に何かつぶやき、ピンセットを取り出すと、 妹の眼球に先端が触れる勢いでまぶたを引っ張ったのです。

 「痛い!」と大きな声で叫んで、私はその方を睨みつけました。 そんな風に触ったら、妹が痛いと思ったのです。 その方は半ば怒ったように、諭すようにこう言いました。 

「皆さんこちらに来られた時は、目は半開きですし、口も空いたままで、私どもが鼻や口に脱脂綿で詰め物をさせていただいて、このような状態まで・・・」

そんなこと、聞きたくありませんでした。 

私は「知ってます、分かってます…」と言うのが精一杯でした。 

葬儀社において死化粧を施す仕事の大変さは後で知りました。 酷い状態のご遺体も沢山あるのだと思います。 

でも、遺族の気持ちとしては、妹がどんな姿になっても妹なのです。 動かなくても、息をしていなくても、冷たいお棺の中で眠っていても、遺骨になっても。 そう思わないと、葬儀までの日々を過ごすことなど出来ませんでした。 妹がいない世界で生きていくのが辛すぎて。 

シャドウとチークを塗って、最後は口紅。 唇からは血が出て、かさぶたになっていたので、私達では難しいと思い 「これが妹の使っていたものです」とお渡しして、塗っていただきました。 

これからドライアイスを入れると言われ「辛ければ目をそらしてください」と今度は言われました。

「大丈夫です」と私は言いました。 

メイクが仕上がって、家族が妹の周囲に集まりました。 父が「いつもの●●(妹の名前)らしくなったな」と言ってくれて、何だかほっとしました。 妹らしい姿で見送ってあげられる、そう思いました。 

部屋を出る時、葬儀社のメイクを担当くださった方に 「おかげさまで妹をすごく綺麗にメイクしていただき、ありがとうございました」と頭を下げました。 

もう誰ひとり不倫に苦しむ人も
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妹を自殺で亡くした自死遺族です。妹を自殺に追い込んだ相手に対し裁判中。お問い合わせはrnotameni (at mark) yahoo.co.jp かTwitterのDMまで。

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